幸せホルモンは三つあって、順番があるらしい

幸せホルモンは三つあって、順番があるらしい 健康・からだ

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幸せホルモンは三つあって、順番があるらしい

「幸せホルモン」と呼ばれる物質は、幸せを作るために生まれたわけではありません。オキシトシンはもともと、出産のときに子宮を収縮させるホルモンとして見つかったものです。セロトニンにいたっては、体内にある分の大半が脳ではなく腸で働いています。三つをひとまとめにして呼ぶのは便利ですが、中身はかなり違います。役割が違うだけでなく、どうやら並び方もあるようです。

セロトニンは、気分の床を平らに保つ役

厚生労働省のe-ヘルスネットでは、セロトニンは「ドパミン・ノルアドレナリンを制御し精神を安定させる働きをする」神経伝達物質だと説明されています。気分を高く持ち上げる係ではなく、傾きすぎないように押さえている側です。低下すると不安や気分の落ち込みにつながるとも記されています。

床が平らかどうかは、平らなうちは気づきません。ぐらついて初めて、そこにあったものの存在がわかる。かなり地味な役どころだと思います。

寝不足の翌日に、普段なら流せる一言にいらっとする。あれは性格が変わったわけではなくて、床がわずかに傾いている状態に近いのだろうと思います。同じ出来事でも、土台の傾きしだいで受け取り方は変わります。

オキシトシンは、誰かがいて初めて動く

学会誌の総説によると、オキシトシンの受容体は扁桃体や側坐核などに分布していて、不安や恐怖といった情動と、養育や信頼といった社会行動の両方を調節しているとされています。人と人との信頼関係を作る基盤になっている、という書かれ方もしていました。

ひとりで頑張って増やすというより、誰かと話す、そばにいる、そういう場面で意味を持つホルモンのようです。三つのなかで、自分だけでは完結しないのはこれだけです。深い話をする必要もありません。レジで一言交わす、家族と並んで座る。その程度でいいというのが、この役の気楽なところだと思います。

ドーパミンは「次」に向かわせる役

京都大学と生理学研究所のグループは、ラットの実験で、期待が外れた直後にドーパミンが増え、それでも努力を続ける行動を支える神経細胞を見つけたと報告しています。ごほうびをもらって満足するときの物質、という印象とは少しずれます。まだ手に入っていないものへ体を向けるときに働く、と言ったほうが近いのかもしれません。

目標を立てた瞬間が一番わくわくして、いざ達成するとすっと熱が引いてしまう。心当たりのある人は多いはずです。向かっている最中にこそ働く仕組みだとすれば、そういう感じ方にも説明がつきそうです。

だとすると、ドーパミンだけを頼りに走り続けるのは、なかなか疲れる話になります。次があるから動ける仕組みは、次がなくなれば止まってしまう。前だけを向いていると、足元が見えなくなることもあります。

土台があって、つながりがあって、それから前へ

三つは競い合っているわけではなく、順番があるように見えます。気分の床がある程度平らで、そばに誰かがいて、そのうえで「次」に向かえる。この並びで眺めると、日常でできることも自然に決まってきます。

  • 朝、カーテンを開けて光を入れる。e-ヘルスネットには、朝に浴びた光には体内時計の時刻を早める作用があり、規則正しい睡眠習慣が快眠につながると書かれています。
  • 日中に少し歩く。
  • 誰かと数分でも言葉を交わす。
  • 小さいことをひとつ終わらせる。

どれも派手ではありませんし、できない日があってもかまいません。

順番があるといっても、きっちり段階を踏めという意味ではありません。前に進めない日は、たいてい土台かつながりのどちらかが痩せている。そう考えられるだけでも、自分を責める前に見るところが変わってきます。

それでも、言い切れないことがあります

ヒトの脳の中で、いまどのホルモンがどれだけ出ているかを直接測るのは簡単ではありません。わかっていることの多くは、動物実験や、体の外から測れる間接的な指標からの推測です。「これをすればセロトニンが増える」と断言する話を見かけたら、一度立ち止まっていいと思います。食品やサプリメントで気分が治る、という言い方も同じです。

生活習慣は悪くない土台になりますが、土台は土台であって、それ以上のものではありません。気分の落ち込みや眠れない状態が続くようなら、習慣の工夫だけで抱え込まず、医療機関に相談してください。うまくいかないのは、努力が足りないからではありません。

参考・出典

この記事は、公開されている研究・公的情報をもとに、縁ノート編集部(理学療法士 監修)が作成しています。効果を保証するものではなく、体調の感じ方には個人差があります。気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。

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