テストステロンは女性にもある、静かな力

テストステロンは女性にもある、静かな力 健康・からだ

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テストステロンは女性にもある、静かな力

テストステロンと聞くと、筋骨隆々の男性の姿が浮かぶかもしれません。ところがこのホルモン、女性の体でもつくられています。男女どちらの中にもあって、筋肉や骨、それどころか気持ちの張りにまで関わっている。そう言われると、少し見え方が変わってきませんか。

「男性ホルモン」という呼び名が誤解を生んでいる

テストステロンは男性ホルモンの代表格で、男性では主に精巣のライディッヒ細胞でつくられるとされています。ただ、工場はそこだけではありません。日本メンズヘルス医学会の解説では、海馬や筋肉、脂肪でも産生されると説明されています。

もうひとつ、副腎。腎臓の上にちょこんと乗った小さな臓器です。日本内分泌学会によれば、副腎皮質からは副腎アンドロゲン、つまり男性ホルモンの仲間が分泌されています。そして副腎は、男女どちらにもある臓器です。量は男性に比べればずっと少ないとされますが、女性の体にもテストステロンは流れている。「男性ホルモン」という呼び名は便利な反面、女性には無関係だと思わせてしまうのが、少しもったいないところです。

筋肉、骨、血、そして気分

このホルモンは体の中で何をしているのか。健康長寿ネットでは、以下への影響が挙げられています。

  • 骨格筋量や筋力
  • 骨密度
  • 造血機能
  • 認知機能
  • 心理的な幸福感
  • 性機能
  • 内臓脂肪

筋肉と骨、というのがひとつの読みどころです。年を重ねて筋肉が落ちていくサルコペニアの背景にも、加齢にともなう成長ホルモンや性ホルモンの減少が関わるとされています。もちろんそれだけが原因ではありません。ただ、体を支える土台づくりに、このホルモンが静かに一枚噛んでいるらしい。

血をつくる働きや、心理的な幸福感に関わるという点も見逃せません。なんとなくやる気が出ない、という感覚は気合いの問題として片づけられがちですが、体の中の事情が絡んでいることもあります。

崖ではなく、なだらかな坂

女性のエストロゲンは、閉経の前後で大きく変わります。テストステロンの下がり方は、それとは少し様子が違うようです。

日本内分泌学会は、男性ホルモンは一般的に中年以降、加齢とともに穏やかに減少すると説明しています。ピークは20代から30代とされ、そこからの下り坂の傾きは人によってかなり違う。40代から下がりはじめる人もいれば、高齢になってもあまり下がらない人もいるとされています。日本人を対象にしたコホート調査では、遊離テストステロン値が20歳代以後、10年ごとにおよそ9.2%低下すると報告されています。

崖ではなく坂。だからこそ気づきにくい、とも言えます。

眠りとの関係

生活習慣の中で比較的はっきり調べられているのが、睡眠です。

シカゴ大学のグループが健康な若い男性10人を対象に行った研究では、睡眠時間を5時間に制限した8晩のあと、日中のテストステロンが10から15%低下したと報告されています。10人という小さな研究なので断定はできませんが、たった1週間の寝不足で測れるほどの変化が出た事実は、なかなか考えさせられます。

日本内分泌学会も、ストレス対策、睡眠、運動、食事といった生活習慣の見直しを土台に置いています。体を動かす、眠る、朝の光を浴びる。地味ですが、ホルモンのためというより体全体のために意味のあることです。なお、特定のサプリメントや食品でテストステロンを増やせるという話は世間によく出回っていますが、そこは慎重に見ておいたほうがよさそうです。

高いほど良い、という話ではない

添えておきたいことがひとつ。

テストステロンが低い状態が続き、体調の不調をともなう場合には、加齢男性性腺機能低下症、いわゆるLOH症候群として診断されることがあります。ホルモン補充を含む治療法もありますが、これは医師の診断と管理のもとで行われるものです。治療の原則はホルモン値そのものを上げることではなく、症状を改善することだとされています。数値が高ければ高いほど良い、という単純な話ではありません。

疲れが抜けない、気分が沈む、眠れない。そうした状態が続くようなら、自己判断せず医療機関で相談してみてください。原因はひとつとは限りませんから。

参考・出典


この記事は、公開されている研究・公的情報をもとに、縁ノート編集部(理学療法士 監修)が作成しています。効果を保証するものではなく、体調の感じ方には個人差があります。気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。

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