気づかないうちに呼吸が浅くなる理由と、1分でできる整え方

気づかないうちに呼吸が浅くなる理由と、1分でできる整え方 健康・からだ

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気づかないうちに呼吸が浅くなる理由と、1分でできる整え方

知らないうちに、呼吸が浅くなっていませんか?

仕事に集中しているとき。締め切りに追われているとき。人前で話す前。イライラしているとき。

ふと気づくと、肩に力が入り、呼吸が浅く、速くなっていた。あるいは、集中するあまり無意識に息を止めていた。そんな経験はないでしょうか。

実は私たちの呼吸は、気持ちや身体の状態によって自然に変化しています。ストレスや緊張が強くなると、呼吸が速くなったり、浅くなったり、ときには不規則になったりします。そして厄介なのは、自分ではその変化になかなか気づかないことです。

ストレスを感じると、呼吸も変わる

緊張すると心臓がドキドキする。手に汗をかく。肩に力が入る。これらと同じように、呼吸もストレスの影響を受けます。

心理的・身体的ストレスによって、呼吸数や一回の呼吸量、換気量などが変化することが研究でも報告されています。

つまり、「忙しいとき、知らないうちに呼吸が浅くなっている」というのは十分に起こり得る身体の反応です。

問題なのは、呼吸が浅いことそのものを「悪」と決めつけることではありません。ストレスが続くなかで、浅く速い呼吸や息を止めるような呼吸が続いているのに、自分ではそれに気づいていないことです。

浅い呼吸になると、身体はどうなる?

ここで一つ、大切なことがあります。

「呼吸が浅い=酸素が足りなくなる」とは限りません。健康な人なら、一時的に呼吸が浅くなったからといって、すぐに酸素不足になるわけではありません。

一方で、浅い呼吸に加えて呼吸数が増え、身体が必要としている以上に換気してしまうことがあります。いわゆる「呼吸しすぎ」の状態です。

必要以上の換気が続くと、血液中の二酸化炭素が低下することがあります。すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • めまい
  • ふらつき
  • 動悸
  • 手足や口の周りのしびれ
  • 息苦しさ

そして息苦しさを感じると、「もっと息を吸わなきゃ」と大きな呼吸を繰り返したくなります。しかし、すでに呼吸しすぎている場合には、それによってさらに二酸化炭素を排出してしまい、不快な症状を強めてしまうこともあります。

だから「息苦しい=酸素が足りない=大きく吸えばいい」とは限らないのです。

肩や首がガチガチになることも

呼吸が浅く速くなっているとき、自分の肩を確認してみてください。少し持ち上がっていないでしょうか。

呼吸の中心的な筋肉は横隔膜ですが、呼吸の状態によっては首や胸郭周辺の筋肉も呼吸を助けます。緊張して身体に力が入り、さらに呼吸でも首や胸周辺の筋肉を使う。デスクワークで同じ姿勢が続いていれば、そこに姿勢による負担も加わります。

そのため、仕事中の呼吸を考えるときは肺だけを見るのではなく、「肩や首に力が入りっぱなしになっていないか」も一緒に確認してみるといいでしょう。

「胸式呼吸は悪い」は本当?

ここで、よくある誤解にも触れておきます。

「胸式呼吸は悪いから、腹式呼吸にしましょう」と聞いたことがあるかもしれません。しかし、「胸式呼吸=悪い」「腹式呼吸=良い」という単純なものではありません。

そもそも呼吸では、横隔膜による腹部の動きと胸郭の動きの両方が使われています。さらに、その割合には個人差だけでなく性差もあります。研究では平均的に、女性では男性より胸郭側の動きが大きく、男性では腹部側の動きが大きい傾向が報告されています。

つまり、胸が動いているからといって「悪い呼吸をしている」と判断する必要はありません。見るべきなのは胸かお腹かではなく、「楽に、落ち着いて呼吸できているか」です。

では、どうすればいい?

難しい呼吸法を覚える必要はありません。まず大切なのは、「自分の呼吸に気づくこと」です。

仕事の途中で、ときどき確認してみてください。

  • 今、呼吸が浅くなっていないか。
  • 呼吸が速くなっていないか。
  • 無意識に息を止めていなかったか。
  • 肩や首に力が入っていないか。

もし気づいたら、1分だけ呼吸をゆっくりにしてみます。

1分だけ、やってみましょう

  • まず、肩の力を抜きます。無理に胸を張る必要はありません。
  • 鼻から静かに息を吸います。目安は4秒くらい。
  • そして5〜6秒くらいかけて、ゆっくり息を吐きます。
  • これを1分ほど繰り返します。

ここで重要なのは、「思い切り深呼吸すること」ではありません。肺いっぱいまで吸い込む必要もありません。たくさん吸うのではなく、「静かに、ゆっくり呼吸する」ことを意識します。

ゆっくりした呼吸については多くの研究が行われており、心拍変動(HRV)など自律神経活動に関連する指標への影響が報告されています。また、システマティックレビューやメタ解析では、ストレスや不安など心理面への影響についても検討されています。

「1分呼吸すれば自律神経が整う」とまで単純に言うことはできません。それでも、呼吸は特別な道具を使わず、その場で自分から変えることのできる身体反応の一つです。

「呼吸法を頑張る」より「呼吸に気づく」

毎日決まった時間に呼吸法をしなければならない。そう考えると、また一つ「やらなければならないこと」が増えてしまいます。

もっと簡単でいいと思います。

  • パソコン作業が一区切りついたとき。
  • 会議が終わったとき。
  • トイレに立ったとき。
  • 信号待ちをしているとき。

そんなときに一度だけ、「今、自分はどんな呼吸をしている?」と確認してみる。浅く速くなっていたら、肩の力を抜いて、1分だけ静かに呼吸する。それだけです。

最後に、今の呼吸を確認してみてください

この記事を読み始める前、自分がどんな呼吸をしていたか覚えていますか? 今、もう一度確認してみましょう。

  • 呼吸は速くないでしょうか。
  • 息を止めていないでしょうか。
  • 肩に力が入っていないでしょうか。
  • ゆっくり息を吐けているでしょうか。

私たちは一日に何万回も呼吸しています。それなのに、自分がどう呼吸しているかを意識することはほとんどありません。

仕事に集中しているとき。緊張しているとき。イライラしているとき。そんなときほど、ときどき思い出してみてください。

「今、自分はどんな呼吸をしている?」

まず気づく。そして、少しだけゆっくり呼吸する。毎日繰り返している呼吸だからこそ、それくらいシンプルな付き合い方でいいのかもしれません。

参考文献

  • Tipton MJ, Harper A, Paton JFR, Costello JT. The human ventilatory response to stress: rate or depth? Journal of Physiology. 2017.
  • Sevoz-Couche C, Laborde S. Heart rate variability and slow-paced breathing: when coherence meets resonance. Neuroscience & Biobehavioral Reviews. 2022.
  • Shao R, et al. The Effect of Slow-Paced Breathing on Cardiovascular and Emotion Functions: A Meta-Analysis and Systematic Review. Mindfulness. 2024.
  • Vidotto LS, et al. Dysfunctional breathing: what do we know? Jornal Brasileiro de Pneumologia. 2019.

✍️ この記事はTOM さんの寄稿をもとに構成しました。(サイト → enishi-note.site

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